『完全な人間を指さなくてもよい理由』

学びながら読む、3週間の おそい 読書
マイケル・サンデルは、現代でもっとも有名な哲学者の一人でしょう。そうです、「ハーバード白熱教室」(2010年、NHK)で一躍日本でもその名が知られることになったハーバード大学のあの教授です。『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』(2012年)として書籍化もされ、一時期話題になりました。『日本で「正義」の話をしよう:サンデル教授の特別授業』(2010年)として、DVD化までされました。従来の哲学のイメージ(?)からすると、これは信じられないほどの快挙と言えるでしょう。これほどの人物ですから、少しでも哲学を齧った人であれば彼の名前を聞いたことがあるかもしれません。

彼は政治哲学、あるいは倫理学を専門とし、多くの著作を出版してきました。しかも、その多くは日本語に翻訳されています。主著『自由主義と正義の限界』(1992年)をはじめとして、『公共哲学: 政治における道徳を考える』(2011年)『完全な人間を目指さなくてもよい理由: 遺伝子操作とエンハンスメントの倫理』(2010年)『これからの「正義」の話をしよう: いまを生き延びるための哲学』(2010年)『それをお金で買いますか: 市場主義の限界』(2012年)などが出版されています。ホントつい最近、『実力も運のうち 能力主義は正義か?』(2021年)が出版されましたね。これらの著作のタイトルからもわかるように、彼の専門は哲学の中でも「政治哲学」という分野であると言ってよいでしょう。

さて、今回私の講義で扱うのは『完全な人間を目指さなくてもよい理由』という著作です。端的に言えば、この著作は倫理学、さらに細かく言えば応用倫理学、さらに細かく言えば生命倫理学、さらに細かく言えばエンハンスメントという分野に関する著作です。

ごく簡単に言えば、エンハンスメントとは、通常の治療を超えて人間の能力を増強・強化する生物医学的介入のことです。身近な例を出せば、ドーピングや美容整形はすでにエンハンスメントだと言えます。さらに、近年、脳に電流を流すことで一時的に記憶力や、さらには人の道徳性も高めることができると考えられています。しまいには、遺伝子エンハンスメントの可能性さえ論じられているのです。

一見すると、エンハンスメントは多くの魅力を備えています。我々は誰もが、「自分ではどうしようもない自分の欠陥や短所」を抱え

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読書会情報

地域
オンライン
開催場所
オンライン(毎週土曜11:00-12:30)
時間帯
毎週土曜日午前11時〜12時半
主催者
The Five Books
主催者の性別
男性
主催者の年代
30代