学びながら読む、4週間の "おそい" 読書　書籍 : 『世論(上・下)』( W.リップマン著)

講義概要
1922年にアメリカのジャーナリスト、ウォルター・リップマンによって執筆されたのが『世論』です。100年程度前（第1次世界大戦と第2次世界大戦の戦間期）に書かれた本書ですが、その内容は全く古びておらず、現在のメディア社会を生きる読者にも多くの示唆を与えてくれます。

リップマンの射程は単にジャーナリズムやマス・メディア（新聞）に留まらず、社会的動物である人間の認知や理解、人間同士の相互作用にまで及んでいます。氾濫する簡便なマスコミ批判や安易な情報社会論とは一線を画する『世論』は、繰り返し読み返す価値のある本と言えるのではないでしょうか。

当時と現在ではメディア環境、政治状況、戦争の形態などが大きく変化しましたが、リップマンの声に耳を傾けながら、問題の連続性や変化を考えることで、私たちの社会を一緒に反省的に検討していきたいと思っています。